経済産業省モデル事業 患者の情報を共有

鶴岡地区医師会


管内に「電子カルテ」

 鶴岡地区医師会(渡部直哉会長)は2001年度、管内の医療福祉機関が電子カルテで患者の情報を共有できるようにするネットワークシステムを構築し、運用実験を行う。2003年の新病院開設時に電子カルテを導入する鶴岡市立荘内病院との連携も視野に入れ、将来的には一人の患者が生涯にわたって一つのカルテで受診できる環境を目指す。

 同医師会の計画は経済産業省の電子カルテモデル事業業に採択された。同事業は提案公募型で募集、全国で26件が採択された。

 鶴岡地区医師会は一九九七年に構築したイントラネットを活用。新たに電子カルテサーバを設け、10月までにシステムを開発する。かかりつけ医の連携を目的に1997年から運用している在宅患者情報一タベ‐ス(登録数約300人)と、九九年から荘内地区健康管理センターで運用している患者の検査デ一夕参照システムも連動させる。

 新システムでは、かかリつけ医が基幹病院に工ックス線断層撮影(CT)や核磁気共鳴診断装置(MRI)などの高度な検査を依頼した場合、その画像をネット上で受げ取ることができる放射線情報管理機能を持たせる。患者が病院で検査を受ける際は申し込み、検査、結果受け取りと3回の通院が必要だったが、新システムが稼働すれぱ検査の1回だけで済み、患者の負担は大きく軽減される。

 同医師会運営の訪問看護でも電子カルテで医師と看護婦が情報を交換し、業務の効率化と質の高い在宅ケアにつなけていく。

 運用実最は12月から来年1月にかけで開業医23機関と荘内病院、湯田川温泉リハビリーション病院が参加して行う予定。患者は複数の医療機関で受診する人などが対象で、承諾を得てから電子カルチを作成。量大約1000人の電子カルテ化を想定している。

 同医師会の三原一郎医療情報システム委員長は「かかりつげ医の背後に電予力ルテを共有した基幹病院が控えていることで、患者側に安心感が生まれ、かかりつけ医制度の普及につながる。電子カルテを通じて効率的で安心、透明な地域医療を提供していきたい」と話している。

<電手カルテ>

 患者の病状や医師の所見、冶療経過、既往歴、当薬歴、検査デー夕などを電子書類として保存する。検査や薬の重複の防止、患者に対するインフォ?ムドコンセント(十分な説明と同意)の徹底につながる‐などの利点がある。九九年四月の厚生省通知で診療録を電子媒体で保存することが認められた。

[山形新聞 2001/3/29]