医療と介護を繋ぐヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク
インターネット関連の新ビジネスの急拡大に伴い、地域医療サービスが変わろうとしている。鶴岡地区医師会は、インターネットによる医療相談「メディカルーク」、NTTドコモのiモード対応携帯電話で検索できる医療機関情報、臨床検査一夕参照システム‐などを相次いで開発、運用し、地域住民に新たなサービスを提供している。最新の情報技術を操る同医師会の試みを紹介する。
「乗り物酔いに効く注射はありますか」「子供の夜尿症について教えてください」鶴岡地区医師会が1998年から、インターネットのホ‐ムページ上に開設している医療相談「メディカルバーク」に、ネット利用者から質問が電子メ‐ルで寄ぜられる。他人に相談しにくい悩みから、ちよっとした疑間、幼児の病気についての相談まで内容はさまざまだ。
同医師会は、県の委託を受け97年から3ヵ年計画で「かかりつけ医推進モデル事業」に取り組んでいる。これらのシステム整備はその一環に当たる。
ホームページに寄せられた相談は同医師会の電算係が毎目チェックし、メディカルパークのコーデイネー夕?を務める同医師会理事にバソコンを通じて連絡する。コ一ディネーターは鶴岡市立荘内病院を合む内科、一般外科、小児科、産婦人科、眼科、精神科など15の専門科目にわたる35人の医飾の中からその質間に詳しい専門医を探し、回答を依頼する。専門医は回答を同医師会に送リ、電算係が受け取り次第、匿名にした質問とともにホームページ上に公開する仕組み。
同じ疑問や悩みを抱く一般のネット利用者の疑問解決にも役立っている。医療行為に踏み込む質問や答えられない内容については、コーデイネー夕lが判断して断りのメールを質問者に送る。
一方、同医師会と医師の間だけを結ぶイントラネットでは、医師向けの医療相談を開設している。賛間方法や公開方法は一般向けと同じで、コーディネータ‐が質間をそれぞれの専門医に振り分ける。開業医がよリ高度な医療技術についての解説を求めたリ、ほかの専門医の判断を求めるなど、医師間の情報交換の場となつている。
さらに、NTTドコモが去年2月に関発した携帯電話からインターネットに接続できる「iモード」で検索できる同医師会医療機関情報が今月中にも立ち上がる。これが稼働すると、携帯竃話から各医療機関の休診目や診療時間、予約と往診の有無などを調べることが可能になる。
移動と情報通信サービスが融合した「モバイルイン夕?ネット」と呼ぱれる新分野は現在、爆発的な普及を見せておリ、こうしたモパイルを使いこなす世代への医療サ‐ビスは今後、需要が増すとみられる。
これらのシステムの開発を手掛けた三原一郎医師(49)=鶴岡市錦町=は「情報開示は時代の流れ。新しい情報通信システムが整備される中、患者さんが求める惰報や知識をどんどん発信し、便利で信頼される医療機関になる必要がある」と話している。
[山形新聞 2000/1/25]