電子カルテで診療情報共有

ネット化へ実証実験

鶴岡地区医師会


電子カルテで診療情報共有

 鶴岡地区医師会(渡部直哉会長)は新年度、管内の医療福祉機関が連携し、電子カルテで患者者の診療情報を共有できるようにする地域医療ネットワークシステムを構築、運用する実証実験事業に取り組む。平成十五年の新病院開院時に電子カルテを導入する鶴岡市立荘内病院との連携も念頭に入れ、一人の患者が生涯にわたって一のカルテで受診できるシステムの有用性を検証しながら、患者の利便性の向上、かかりつけ医制の普及を目指す。

 同医師会の事業は経済産業省のモデル事業に採択され、国の補助でシステム開発を進める。モデル事業はIT(情報技術)の活用に向けた公募提案型で募集され、全国で26件が採択された。県内では1件だけ。

 鶴岡地区医師会は乎成九年に管内の各医療機関などを結ぶネットワークを構築、運用しており、実証実験はこのイントラネットを活用。電子カルテシステムについては、新たに地域電子カルテサーバを医師会館(鶴岡市馬場町)に設け、11月までにシステムを開発する。かかりつけ医の連携を目的に九年から運用している在宅患者情報データペース(登録患者数約300人)と、11年から荘内地区健康管理センターで運用している検査データ参照システムも連動させる。

 実証事件は12月から翌年2月にかけて開業医や鶴岡市立の荘内病院、湯田川温泉リ八ビリテーション病院など25医療機関が参加して行う予定。患者は複数の医療機関を受診する人などが対象で、承諾を得たうえで電子カル化を作成する。最大1000人の電予カル化を想定する。

 システムには、かかりつ医が中核病院に高度唸検査を依頼した場合、検査結果を画像で受け取ることが出来る機能をもたせ、患者が検査の申し込みや実際の検査、結果の受け取りと医療機関を何度も訪問するかいい数の軽減効果、重複投薬などの逓減効果などを検証する。同医師会が運営する訪問看護についても電子カルテで医師と看護婦が情報を共有し、業務の効率化と質の高いケアを目指す。

 また、病診連携システムを先駆的に稼動している東京都の新宿区医師会と連携し、両地域間を転入や転出などで動く患者の情報を共有管理するシステムも試行。全国レペルでの電子カルテ構築に向けた基礎的な検証も行う方針。

 鶴岡地区医師会の三原郎医療情報システム委員長は「電子カルテシステムは、地域の中で病院と診療所が連携し、情報を共有するための手段。かかりつけ医と基幹病院との連携により患者側に安心感が生まれ、かかりつけ医制度の普及にもつながる。この事業を、さらなる医療の効率化、安全化につなげたい」と話している。

[荘内日報 2001/3/30]